皎天よりあの子は遥か




勉強を教えてもらった流れでどうしてか一緒に帰ることになった。

嫌だったけどわかりやすく教えてもらって課題も提出できた身としては「一緒に帰ろう」という誘いを断ること ができず…でも、ちょっと近くない?


「美宵ちゃんどうしたの?」

「…その呼びかた、なんなの」

「え、いまさら?」


つっこむ隙がなかったんだから仕方ないじゃない。なんてことない、みたいな態度にため息をつく。


「ねえ、蒼井さんの病気って、死んじゃうやつ?」

「どうせなら美宵も私のことも今日子って呼んでよ」


どうせならって使いかた違うと思う。万年首席がおかしい。


「呼ぶわけないでしょ」

「だよねえ」


くすくす笑ってる。みよ、笑えないような質問したはずなんだけど。まあどうでもいいんだけど。



なんで質問しちゃったのか自分でもよくわからないし。答えようとしない素振りも どうでもいいから気にならない。

何種類もの薬。

なんだか気味わるかったな。なんて不謹慎か。


腕と腕が当たるような距離で歩く仲ではないはずなんだけど、突き放す理由もない。話す内容もない。

どこまで一緒に歩けばいいんだろう。駅までかな。そうだと願いたい。


人と関わるのは苦手だ。特に自分とは違う人種。

かといって自分と同じ人種が何かもわからないけど、悪いことをしてるやつらならいいかなって。向こうからしたらはた迷惑かもしれないけど。

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