愛して先輩っ! XXX
私は寮に戻ると、黙って部屋に入った。

みんなに不安そうな顔をされたけど。


だけど。

なにも言えなかった。

私がこの寮を去ること。

話さなくちゃいけないと思うのに、話せない。

話してしまったら、みんなと離れ離れになってしまうような気がして。


それ以上に。

私がみんなと離れ離れになることが寂しいんだ。


部屋で退寮届けを書く。

涙があふれる。

退寮届けに涙が零れ落ちては、退寮届けを書き直す。


おばあちゃんのことも心配だけど。

みんなと、バイバイしたくない。

だけど、おばあちゃんには元気になって欲しい。


自分自身の感情が迷子になる。

おばあちゃんが危ない状態なのに、みんなと離れるのが嫌なんて……。

そんなこと言っている場合じゃないのに。

もう、自分でどうしていいのか分からないよ……。


トントン。

部屋の扉がノックされる。

私は慌てて目をこすった。

泣いていたことがバレないように。
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