愛して先輩っ! XXX
『奈々ちゃん元気にしているー? 転校してきてくれて、嬉しいよー』



手紙の書き方が軽い。

なんか、友達同士のやり取りみたいな手紙に見えてくる。



『女子寮が満室ってことを忘れていたんだよねぇ。奈々ちゃんは男子寮で生活してね! 特別だよ!』



他の人には内緒にしていてね!

と、書かれた手紙。


いや、特別とかいらないんですけど。

普通に女子寮がいい。



「なあ」



黒髪さんが私に目を向ける。



「学園長とどういう関係だ?」

「……親戚です。学園長は、私の祖母の弟」

「そうか」



空気が重たくなる。

多分、彼らは自他共に認めるイケメンだと思う。

だから、学園長と私の繋がりを知ってしまえば『学園長に媚売って男子寮に入寮したのか』とか、思われても仕方ないと思う。


手紙を握り締めたまま、うつむいている私の耳に低音ボイスが入る。



「黒崎 祐樹、2年生だ」

「え、あ……。先輩?」

「なんとでも呼べ」



これって。

少しは私を認めてくれたってことなのかな。



「学園長には逆らえないからな」



あ、そういうことですか。

私を認めたわけじゃないのね。

そんな私に星矢くんは耳打ちをする。



「ちなみに、祐樹は暴走族総長だから」
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