愛して先輩っ! XXX
「そこに誰かいる?」



男子生徒の声が校舎裏に響いた。


しまった。

女子生徒に気を取られて、振った側の男子生徒がいることを、すっかり忘れていた。



「盗み聞き?」



そう言う男子生徒の足音が、こちらに近づいてくる。


やばい。

見つかる!


そう思って目をぎゅっと閉じて膝を抱える。

私のことは、落ちている石ころみたいに扱ってください!

心の中で強く願ったのに。



「今の。聞いていたんだ?」



頭上から降ってくる、穏やかな声。

絶対、私のことを見下ろしているよね?

私、見つかっちゃったよね!?



「すみませんっ! 聞くつもりはなかったんです! 自販機に用事があって!」



自販機に用事はなかったけれど。

転校初日だったから、学校を散策していたら、遭遇しちゃったんです。

悪気まったくないんです!
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