愛して先輩っ! XXX
「美味しそう」

「普通だ」

「食べてみたいです!」



思わず飛び出た言葉。

祐樹先輩はびっくりしたように私を見る。

図々しかったかな。


祐樹先輩は、卵焼きをフライパンからお皿に移す。

包丁で卵焼きを切る。

そのまま箸で卵焼きをひとつ掴んだと思ったら。



「口開けろ」

「えっ!?」

「食べたいんだろ?」



食べたいって言ったけど!

これって、いわゆる『あーん』ってやつじゃないですか?



「食べたくないのか?」

「えっ、いやっ! 食べたいです!」



私は恥ずかしさを我慢して、口を開ける。

口の中に放り込まれる卵焼き。

祐樹先輩って天然なの?

昨日は祐樹先輩ってお堅い人なのかな、って思ったけど。

こうやって見ると、普通の男子って感じがする。


そんなことを考えながら、もぐもぐと卵焼きを食べる。

口の中に広がる、卵焼きの甘さ。
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