愛して先輩っ! XXX
「どうだ?」

「……美味しい」

「そうか」



自然な甘さが、ふわぁっと口いっぱいに広がる。

心まで癒されるような卵焼きだった。



「今度、作り方教えてください!」

「そんなに気に入ったのか」



祐樹先輩が、ふっ、と笑う。

……祐樹先輩が笑ったところ、初めて見たかも。

つられて私も笑顔になる。

朝から和むなぁ、なんて思っていると。



「おはよう」

「……」



星矢くんと瑠衣くんがあくびをしながら、リビングに立っていた。

2人ともパジャマ姿だから起きたばかりなんだなぁ、と思った。



「なに? あんた、祐樹に色目でも使った?」



瑠衣くんが私を睨む。

さっきまで和やかな雰囲気だったのに、瑠衣くんの一言で空気が冷たくなる。



「色目使うほど魅力もないか」

「瑠衣っ」



星矢くんが瑠衣くんをなだめる。

私って、歓迎されていないんだなぁ、なんて思う。

寂しさとイライラが重なる。
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