愛して先輩っ! XXX
「お前はどうしたいんだ?」



祐樹先輩が私にだけ聞こえるくらいの小さな声で呟いた。



「どうしたいって言われても」



私も祐樹先輩にだけ聞こえるような声で言葉を返す。

どうしたいか、と聞かれても分からない。

瑠衣くんに睨まれ続けるのは嫌だし。

仲良くなれるとは思わないし。

楽しく学園生活を送りたかったけど、無理だと思う。


そんな私に祐樹先輩は言った。



「お前が心開かないと、みんな心を開かないぞ。……特に高橋は」



祐樹先輩の言葉が胸に刺さった。


……私、みんなと仲良くなれないって、ずっと思っていた。

歓迎されていない。

無意味に睨まれる。

口論ばかり。

そんな状態で、楽しい生活を送ることなんて出来ない、って勝手に決め付けていた。


だけど。

それは、私の勝手な思い込みだったのかもしれない。

この人はこうだから仲良くなれない! と、勝手に決め付けていた。

特に瑠衣くんだけど……。

それじゃあ、絶対に仲良くなれないよね。

私が心を開いていかないと、相手も心を開かないって、そういうことなのかな?


私は、祐樹先輩を見上げる。

多分私の瞳は不安で揺れていると思う。


今からでも間に合うかな……。

今からでも仲良くなれるかな……。
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