愛して先輩っ! XXX

偽りの瑠衣くん

「ねぇ」



お昼休み。

私は購買にパンを買いに行こうと、星矢くんと廊下を歩いている。

星矢くんと並んで歩けば、嫌でも目立つ。

それだけ星矢くんには惹かれるものがあるんだなぁ、と改めて思う。



「ねぇっ」



星矢くんは、女子に声をかけられれば笑顔で返しているし。

見た目と中身のギャップが激しい。

だけど、それが星矢くんの素敵なところだと思う。

なんでヤンキーっぽくなったのか、謎ではあるけれど。



「ねぇってばっ!」



突然、後ろから左腕をつかまれた。

びっくりしたのは私だけじゃなくて、星矢くんも同じようだった。


振り返ると、瑠衣くんが私の腕を掴んで立っていた。

ものすごく怖い顔をして。



「瑠衣くん?」

「……さっきから、呼んでいるんだけど」



私、瑠衣くんから呼ばれていたのかな。

どこからか『ねぇっ』って声は聞こえていたけれど。

まさか、瑠衣くんが私を呼んでいたなんて。

明日は雪でも降るのだろうか。

……今、6月だけど。
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