愛して先輩っ! XXX
「今だけ彼女のフリをして。……後ろから、つけられているから」

「えっ」



思わず振り返りたくなる。

その瞬間、瑠衣くんは私の手を引っ張って、再び歩き出す。



「奈々ちゃんは雑貨屋さんが好きだよね? 行こっ?」



確かに雑貨屋さんは好きだけど。

って、そうじゃなくて。


彼女のフリ?

後ろからあとをつけられている?

なんか、瑠衣くんも大変なんだなぁ、と思った。


そんなことを考えていると、アンティーク調のかわいらしいお店が目に入った。

お店の前で立ち止まる瑠衣くん。



「ここがオススメの雑貨屋さん! 入ろーっ」



本当のデートみたい。

瑠衣くんが雑貨屋さんのドアを開けてくれて、先に私を店内に入れてくれる。

その姿は、慣れているようにも見えた。


お店の中は、少し昔のヨーロッパの世界みたいだった。

落ち着いているけれど、おしゃれな雰囲気。


私たちはお店の中を回る。

だけど、心には疑問が残ったまま。

なんで、恋人のフリをしているんだろう。

それに、私を選んだ理由はなに?


そんなことを考えながら、瑠衣くんを見つめていると。
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