愛して先輩っ! XXX
「奈々ちゃんに、これ、似合うと思う!」



そう言って、瑠衣くんが差し出してきたのは、かわいいヘアピン。

瑠衣くんはそのヘアピンを私の髪の毛にかざす。



「うんっ、やっぱり似合うっ」



そう言って、瑠衣くんはスタスタと歩き出してどこかへ姿を消した。


ぽつん、とアクセサリーコーナーの前で立っている私。

瑠衣くんが手に取ったヘアピンが置いてあった棚を見つめる。

きれいに並べてあるアクセサリーの中に、ひとつだけ穴が開いたように感じる。


瑠衣くんの心を見ているようだった。

私に、ニセモノの笑顔を向けた瑠衣くん。

それを思い返すと、切なくなった。



「奈々ちゃんっ、おまたせっ!」

「わっ!」



ぼーっとしていた私は、瑠衣くんが戻ってきたことに気づかなかった。



「どうしたの? 考え事?」

「あっ、いや! そういうわけじゃないけど」



ふーん、と瑠衣くんは不思議そうな顔をする。

それからすぐに、ぱっと笑顔に戻って。



「これっ! 奈々ちゃんにプレゼント!」



そう言って、瑠衣くんは私の髪の毛に触れた。
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