愛して先輩っ! XXX
「祐樹先輩……」

「くだらない」



祐樹先輩が掲示板に貼られた写真を、ビリビリと破っていた。

それを丸めて、近くにあったゴミ箱に投げ捨てた。



「奈々。気をつけろ」



祐樹先輩が私に向かって言う。

昨日、星矢くんにも同じ言葉、言われたな……。

『気をつけろ』って、こういうことだったんだね。


……瑠衣くんは芸能人だから。

みんなの人気者だから。

そんな瑠衣くんに近寄る女がいれば、目の色を変えて怒りだす人たちもいるんだ……。


改めて、瑠衣くんの凄さを実感した。



「教室、行ける?」



星矢くんが私に問う。


怖い。

だけど、ここで逃げたら、なにも変わらないから。

私は頷く。



「桜庭。任せたぞ」

「ああ」



祐樹先輩も心配してくれている。

星矢くんだって、守ってくれる。


……瑠衣くんは。

今、なにを考えているんだろう。

教室まで続く廊下を、星矢くんと手を繋いで歩いているのに。

私の頭の中は瑠衣くんでいっぱいだった。
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