愛して先輩っ! XXX
「……奈々?」

「……え?」



ヤンキーくんが私の名前を呟く。

なんで私の名前を知っているの!?


驚く私に、ヤンキーくんが笑顔を見せる。



「奈々だよな? 久しぶりじゃん」



私にはヤンキーの知り合いはいません。


……だけど。

この整った顔立ち。

いわゆるイケメンの部類に入る、この顔。

優しくて穏やかな声。

大きな男の子らしい手。

私、知っている……。



「もしかして、星矢くん?」

「思い出してくれた?」



……思い出した。


桜庭 星矢。

私より1つ年上の近所のお兄ちゃん。

小さい頃から仲良くしている幼なじみ。


1年前。

星矢くんは、この如月学園に入学することになった、って言っていた。

入学したら、寮生活になるから会えなくなる……って聞いたときは泣いた。

そんな記憶があるけれど。
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