愛して先輩っ! XXX
「それにね。瑠衣くんだったら、世の中が作り上げた身勝手なルールくらい、壊せると思うよ」



うん。

絶対に出来るよ。


私がそう言うと、瑠衣くんは考え込むようにうつむいた。



「この世の中には、いろんな人がいて当たり前だと思うよ」



瑠衣くんみたいに芸能界に入る人も入れば。

暴走族総長なんて危なそうなことをしている祐樹先輩だっている。

昔は大人しかったのに、今はモテモテヤンキーの星矢くんだって。

一般人でなんの取り柄のないような私もいる。


だから。



「瑠衣くんは自由に生きていいんだよ」

「……自由に、ね」

「うん」



瑠衣くんは立ち上がると、私の隣に立った。

そのままフェンスに寄りかかる。

その表情は、逆光でよく見ることは出来なかったけど。

笑顔が浮かんでいるように見えた。



「ありがとっ。なんかスッキリした」



瑠衣くんがこちらに顔を向ける。

これが、瑠衣くんの心からの笑顔なのかな。

そう思うと、嬉しくなった。
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