愛して先輩っ! XXX
「なんかね」

「ん?」

「スッキリしたのに、心臓がドキドキする」



……うん?

心臓がドキドキ?


首をかしげる私。



「ドキドキして、ムズムズする感じ」



心臓の音も早くなっているんだよ。

そう言って瑠衣くんは、私の腕を掴んだかと思うとその胸に引き寄せた。


ドクン、ドクン。



「ね? 心臓の音が早いでしょ?」

「そ、そうだね」



瑠衣くんに抱きしめられた私の鼓動も早くなって、どちらの心臓の音なのか分からないけれど。


んー、と考え込みだす瑠衣くん。

それからしばらくして私の名前を呼んだ。



「奈々ちゃん」



久しぶりに名前を呼ばれたなぁ。

“彼女”のフリのときだけ呼ばれていた気がする。


なんて思っていると、瑠衣くんの手が私の頬に触れた。



「僕と目を合わせて?」



瑠衣くんと改まって目を合わせるのは恥ずかしい。

照れるけど、瑠衣くんがそういうなら、一瞬だけでも目を合わせよう。

うん。

恥ずかしいから一瞬だけ。
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