愛して先輩っ! XXX
「もう、二度と目の前に現れないで」



その言葉に涙を浮かべた女子集団。

そして、走り去っていった。


散らばる野次馬たち。

こそこそ話しながら、各自教室へ戻っていく。


残されたのは、私と彼ら3人と、大和撫子さんだった。

大和撫子さんは、床に倒れこんだまま泣いていた。



「大丈夫ですか?」



手を差し出す私。

大和撫子さんは、戸惑いの表情を見せたけど、その手を掴んでくれた。



「藤澤さん……。酷いことをして、ごめんなさい」



突然の謝罪の言葉に驚く私。

彼ら3人の様子を、ちらりとうかがえば、なにか納得していないような表情だった。



「酷い目にあってから、初めて気づいた……」

「……うん」

「見ず知らずの人に攻撃されるのって辛いことだ、と」



大和撫子さんはさらに涙を流した。

その姿は、1輪のきれいなお花の潤いがなくなったようだった。


大和撫子さんが流している涙を拭おうと手を伸ばした。

だけど、その手は祐樹先輩につかまれ、届かなかった。
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