愛して先輩っ! XXX
寮に戻りました。

星矢くんには、夕ご飯の材料を買ってきて欲しい、と、おつかいを頼んだ。

瑠衣くんには、食器用洗剤を買ってきて欲しい、と頼んだ。

と、いうことで、寮には祐樹先輩と2人きり。


祐樹先輩はソファでくつろぎながら、テレビを眺めている。

話すなら、今しかないよね?


私は空いているソファに座った。

こちらへ視線を向けた祐樹先輩。

その視線はすぐにテレビへと戻った。


……話すタイミングが分からない。


どうしよう、と、心の中があたふたしている。



「高橋と仲良くなれたんだな」

「えっ」

「違うのか?」



祐樹先輩に話を振られるとは思わなかった。

さきほどまで『どうしよう』と、なっていたけれど、話しかけてもらえたことで落ち着いた。



「瑠衣くんが悩んでいることを聞いただけです」



瑠衣くんと屋上で話したときのことを思い出す。

私は話を聞くことくらいしか出来なかった。

それでも、瑠衣くんは心を開いてくれた。

嬉しかった。


祐樹先輩に笑顔を向ける。

祐樹先輩は少し悩んだあと、口を開いた。



「奈々と話していると気持ちがラクになる」

「そうですか?」

「ああ」



祐樹先輩に褒められるとなんだか安心するな。

お兄ちゃんみたいな感じがする。

私にお兄ちゃんはいないけれど、お兄ちゃんがいたら、こんな感じなんだろうなって思う。
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