愛して先輩っ! XXX
「……藤澤さん」



大和撫子さんが小さく口を開いた。

突然名前を呼ばれて驚く私。

大和撫子さんはうつむいたまま、呟いた。



「気をつけて」

「えっ」

「彼女たちの怒りはおさまっていないから……」



そう言って、大和撫子さん涙をこぼした。

ぽた、ぽた、と屋上の床に涙のしみを作っていく。



「掲示板に貼った写真……。本当は私が貼ったの」



大和撫子さんが、ごめんなさい、と呟いた。


そっか。

あの写真は大和撫子さんが……。



「私があんなことをしなければ、藤澤さんがこんな目に合うことはなかったのに」



涙を流し続けるその姿は、痛々しかった。

大和撫子さんは、瑠衣くんのことが本当に好きなんだと、あの時思った。

その感情は今も変わっていないんだと思う。

だけど、瑠衣くんの前で事実を話してくれている。

それってすごく勇気が必要だと思う。

自分の行いを話すって、怖いことだから……。


そう思ったら、大和撫子さんに怒りは湧かなかった。
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