愛して先輩っ! XXX
「奈々には、暴走族総長になった理由を話しただろ」

「はい」



暴走族の話? 

それがどうしたのだろうか。



「……総長になったところで、人を守ることは出来ないんだな」



聞こえるか聞こえないか。

小さな呟き。

祐樹先輩は今、どんな表情をしているんだろう。



「……私は、祐樹先輩にたくさん守ってもらいましたよ」



カーテン越しに届けたい言葉。

祐樹先輩には瑠衣くんとの関係のことだったり、掲示板に貼られた写真のことだったり。


今日のことも。

私を守ってくれた。

充分すぎるくらいに。



「根本的なことは解決できてねぇだろ。人ひとり守れなくて、なにが“総長”なんだろうな」



祐樹先輩の苦しそうな声。

そんな祐樹先輩に、私は思わず口を開いていた。



「“総長”とか関係ないと思います」



カーテンの向こうにいる祐樹先輩に届くか分からないけれど。

届いて欲しい。
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