愛して先輩っ! XXX
「ゆうき、せんぱい……」



頬に触れている手から、熱が伝わる。

祐樹先輩の体温。

見つめ合う祐樹先輩と私。



「顔、赤いな」

「だ、だれのせいだと思っているんですか……」



言葉を詰まらせながら言うと、祐樹先輩はふっと笑って。



「俺でも人の心は動かせるんだな」



なんて、言うから。

私は目をそらすことが出来ないじゃないか。

顔に熱が集まっているのがいやでも分かる。

恥ずかしい。


祐樹先輩が私に触れていることが恥ずかしいのか。

それとも、この2人きりの空間がくすぐったいのか。

分からなくなってきた。


目に涙が浮かんでくる。

泣きたいわけじゃない。

ただ、どうしていいのか分からなくて、涙がにじんでくる。

その涙を拭うことも出来ずに、固まっている私。



「泣くのか?」



意地悪く笑う祐樹先輩。

私が泣きそうなこと、分かっているんだ……。

それこそ恥ずかしい。


祐樹先輩に見つめられて、涙があふれました。

なんて、冗談にもならない。
< 72 / 129 >

この作品をシェア

pagetop