愛して先輩っ! XXX
「今は返事いらないからね」

「……うん」

「ただ、」



星矢くんは私の頭を撫で続けたまま、悲しそうな顔をする。



「あいつらに比べて、俺が持っているものって少ないんだなぁ、って思う」

「そんなこと、」

「特別、才能があるわけじゃない。奈々の隣に並んで歩いていいのかな、って、ときどき思う」



そんなことないのに。

星矢くんの表情は暗い。

星矢くんの素敵なところはたくさん知っているのに。

言葉が出てこなくなる。



「そろそろ行こうか。復活してきたし」



そういう星矢くんの視線の先には、楽しそうな瑠衣くんと、そんな瑠衣くんに呆れ顔の祐樹先輩がいた。


星矢くんは、今なにを思っているんだろう……。

今度、ゆっくり話をしてみよう。
< 92 / 129 >

この作品をシェア

pagetop