愛して先輩っ! XXX
「奈々ちゃんのこと好きなら、奪ってみろよ」



瑠衣くんの言葉が教室に響く。

静まり返る教室。

ごくっ、と、誰かが息をのんだのが分かった。



「……」

「覚悟もない奴に、奈々ちゃんを渡せない」



瑠衣くんの言葉が胸に刺さった。

嬉しいとか。

恥ずかしいとか。

そんな感情じゃなくて。

私は私が気づかないところで、こんなにも大切にされていたのかな。


もちろん、いじめから助けてもらったことはよく覚えている。

感謝してもしきれないくらいだけど。


でも。

いつもヘラヘラしている瑠衣くんが真剣な顔をしている。

真剣な顔で、重みのある言葉。

それが胸に刺さらないわけがない。



「そ……よな」



星矢くんが私に視線を向けた。

その視線は揺らぐことなく、真っ直ぐに私を見ていた。



「そうだよな。俺には覚悟がなかったのかもしれない」



星矢くんが、私へ手を伸ばす。

その手は私の頬に触れて。

包み込まれているみたいだった。


ドキッと跳ね上がる心臓。
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