あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
「さっきのメールは朝倉くんからだったんじゃないのかい?」
なんでもお見通しなんだ。
「ばあちゃんには叶わないな」
「とにかくこれを渡してきて頂戴。柊ちゃんのことは大丈夫だから」
行ってどうなるかはわからない。
だけど……。
「わかった。ばあちゃんありがとう」
私は、紙袋に入れた煮物と車のキーを握り締め家を出た。
そして車に乗って蛍の森へと向かった。

森の入り口に車を止めると、蛍の森までは歩いて行く。
その道は舗装されていないため、知る人はほとんどいない。
五分ほど歩くと、一匹、二匹と蛍が光を放ちながら飛んでいる姿が見えた。
そして森の奥へ進むにつれその数は増え、小川の近くまでいくと無数の蛍が飛んでいた。
恐らく今がピークだ。
空を見上げると月が照らしているようにここだけは幻想的な光に包まれている。
その中に彼はいた。
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