あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています

「今からの話は二人だけに留めておきます。この先どうなさるのですか?」
「私は、この島を出るつもりはございません」
「でも」
わかってる。彼があのチャペルで結婚式を挙げるから加賀美さんは一応心配しているのだろう。
だけどもう、私は逃げたくない。
彼が私と一緒になれなくても、私は二度と逃げないと決めた。
彼の幸せが、別の女性との結婚だとしても私はここから彼の幸せを願う。
「君は強いね」
褒められてるのか呆れられているのかわからない。
「強くなんかないです。強かったらきっとあなた方が何を言おうが、自分の信念曲げませんでした」
「すまなかった。悪く思わないでくれ」
「いえ、謝らないでください。加賀美さんはこれが仕事なんですから」
加賀美さんはそれ以上何も言わなかった。
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