あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています

でも何より辛いのは、彼がわたしの為に苦しんでいることだ。
弁護士が来るぐらいだから、相当難航していたに違いない。
そう思うと申し訳ない気持ちになる。
ただ、心残りといえば柊一と悠一さんの対面が叶わなかったこと。
もちろんそれは私が勝手に産んだことを許してくれて、尚且つ私ともう一度一緒にいたいという願いが叶ってのことだ。
「柊ちゃん、ごめんね。ダメなママを許してね」
いつの間にか目の前が霞んでいた。
声にならない悲しみが襲い、涙だけがとめどもなく溢れていた。

それから数日後、悠一さんから3日後の最終便で帰ってくるとメールが届いた。
そこには話がしたいから家で待っていて欲しいと。
だが、加賀美さんに彼とのことを諦めると言った手前、もう会えない。
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