あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
翌朝、少しだけ熱が下がった。
だが、その代わりに咳がよく出るようになった。
しかも痰が絡んだような咳だった。
昨夜より元気な柊一。
だが、普段のような食欲はなく、大好きなヨーグルトをあげてみるがイヤイヤと横に振る。
それでも脱水症状を起こすといけないのでこまめに水分を取るよう心がけた。
でも、夜になると再び熱が上がり出した。
「全然良くならないけど大丈夫かな?」
「もし、これ以上酷くなるようなら、明日にでも誰かに船を出してもらうかい?」
「……そうだね」
見守ることしかできないことに苛立ちと感じた。
その時だった。スマホからメールを知らせる着信音が鳴った。
そういえば昨日から柊一のことで頭がいっぱいでスマホの存在すら忘れていた。
だが私は画面を見て驚いた。
何通も届いたメールのほとんどが悠一さんからだった。
恐らく【もう会えません】という私の返事に対してのことだが、正直今は彼のメールを読んで返事を返す余裕などなかった。
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