あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています

「は、はい」
「信用してくれないかもしれないが、君に惹かれた。初めて会った人にこんな感情をもったのは初めてで、どう説明したら理解してくれるか分からないが、とにかく今君の手を離したらもう２度と会えないんじゃないかって……だから」
彼の真剣な眼差しに嘘はないと思った。
まさか彼が私と同じように思ってくれているなんて……嬉しくてドキドキして、私も同じ気持ちって伝えたい衝動に駆られる。
でも心の中のもう一人の私は、今この手を取ったとしても明日になればこの手を離すことになる。
それでもいいの？　と言っていた。
断ることは簡単だ。だけど断ったら後悔が残る。
その後悔を引きずらない自信が自分にあるかと言われたら、自信はない。
彼は後悔したくないから追いかけてくれた。
だったら後悔のない答えはもう決まったようなものだ。
「私も同じ気持ちです」
すると私の手を握る手に力が入った。