あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
朝になり私は静かに彼との別れの準備をしていた。
悠一さんの無防備な寝顔を見て胸が締め付けられる。
こんな出会いそう滅多にあるわけではない。あんな短時間でこれほどまでに激しい恋心を抱いたのも初めてで、自分の決心に迷いが出ていた。
でも私たちは名前以外何も知らない。
そんな人に私の人生を押し付けるような真似はしたくない。
——悠一さん、忘れられない時間をありがとう。
心の中で彼への思いを言葉に残し、部屋を出ようとした。
だが、それを阻止するように眠っていたはずの悠人さんが私の腕を掴んだのだ。
「どこに行くんだ?」
この状況で新幹線に乗るだなんて言えない。
「ごめんなさい。今日は早い時間に友人と会う約束をしてて……」
とっさについた嘘だった。
悠一さんは掴んだ手を離した。
「先約がいるならしかたないな。じゃあ、連絡先を教えてくれ。また会おう」
私とあなたに「また」はもうない。
「じゃあ、次に会えたときに連絡先を教えます」
悠一さんの表情が一瞬曇った。
「なんで次に会えた時だなんていうんだ?」
もう会えないからと言ってしまえば済むが、本当のことを言ったら自分の意思が揺らいでしまう。
悠一さんの無防備な寝顔を見て胸が締め付けられる。
こんな出会いそう滅多にあるわけではない。あんな短時間でこれほどまでに激しい恋心を抱いたのも初めてで、自分の決心に迷いが出ていた。
でも私たちは名前以外何も知らない。
そんな人に私の人生を押し付けるような真似はしたくない。
——悠一さん、忘れられない時間をありがとう。
心の中で彼への思いを言葉に残し、部屋を出ようとした。
だが、それを阻止するように眠っていたはずの悠人さんが私の腕を掴んだのだ。
「どこに行くんだ?」
この状況で新幹線に乗るだなんて言えない。
「ごめんなさい。今日は早い時間に友人と会う約束をしてて……」
とっさについた嘘だった。
悠一さんは掴んだ手を離した。
「先約がいるならしかたないな。じゃあ、連絡先を教えてくれ。また会おう」
私とあなたに「また」はもうない。
「じゃあ、次に会えたときに連絡先を教えます」
悠一さんの表情が一瞬曇った。
「なんで次に会えた時だなんていうんだ?」
もう会えないからと言ってしまえば済むが、本当のことを言ったら自分の意思が揺らいでしまう。