あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています

私は早い段階で認められ、少しずつだが自分のデザインしたジュエリーが商品化された。
そんな時、新ブランドが立ち上げることになり、そのプロジェクトに私も参加することになった。
ジュエリーのもつ特別感というイメージを払拭し、ジュエリーをもっと身近に感じられるものへというコンセプトで、ブランド名は「Sparkle」になった。
私はこのプロジェクトが自分の夢への第一歩だと思い、とにかく力を注いだ。
１年前から付き合っている彼との時間が取れなかったが、彼は私を応援してくれた。
それに甘えて私はとにかく新ブランド立上げに心血を注いだ。
ところが、ある日事件が起きたのだ。
私がデザインしたスケッチが紛失したのだ。といってもたくさんデザインしたうちの十点程度。
仲間も探してくれたが結局見つからず、きっと間違って捨てたのかもしれないと諦めていた。そして半年が経ったある日。
「ちょっと大変！」
スタッフの一人がかなり動揺しながら部屋に入ってきた。
「これ見て」
そういって我が社のウェブサイトを開いた。
「え？　嘘でしょ」
「ちょっと何これ」
みんなも動揺を隠せない様子でサイトをみていた。
だが一番驚いたのは恐らく私だろう。
それは「shinobu akasaka」の新作だった。
だがそのデザインは見覚えのあるものだった。
「これって、翼がデザインしたものに似てない？」