あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
運命の再会
「翼ちゃんいる?」
「は〜い」
玄関に行くと、近所のおばちゃんがバケツを持って立っていた。
「お父ちゃんがたくさん魚を釣ってきたからお裾分け」
「いつもありがとうございます」
バケツの中には小ぶりのアジがたくさん入っていた。
「いいのよ〜。南蛮漬けにちょうどいいサイズよ。ところでおばあちゃんは畑?」
「はい。よかったらあがってってください。今呼んできます」
「じゃあ、おじゃまします〜」
私は畑にいる祖母を呼びに行った。
「ばあちゃん。高田さんが見えたよ〜」
祖母は野菜を収穫していた。まだ作業途中だったので私と交代。
「アジをたくさん持ってきてくれたの」
「そうか。じゃあ、このスナップエンドウをあげようかね」
「うん。じゃあ、ばあちゃんは先にいっててよ。残りの分収穫しておくから」
「じゃあ、頼むね」
美崎島で暮らすようになって2年が過ぎた。
ここの暮らしは東京と違って時間がゆっくり過ぎる。
空気も美味しいし、ここで採れる野菜も魚もおいしくて、東京に戻りたいと思ったことはない。
それにここにいる大きな理由は他にあるからだ。
< 22 / 148 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop