あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
結局は、実家のある岐阜で出産ですることを条件に、許してくれた。
島に戻ったのは柊一が6ヶ月になってからだ。
最初はあんなに反対していた両親も、柊一が誕生すると、柊一を中心とした生活になり、ずいぶん可愛がってくれた。
だから別れる時は、今生の別れのように母は大泣き。
でも私はどうしても美崎島でこの子を育てたかった。
島に帰ると、島の人たちが大勢で私たちの帰りを歓迎してくれた。
だが祖父母に甘えてばかりいられないので、畑仕事の手伝いはもちろん、柊一が一歳の誕生日を迎えた頃からアクセサリー作りを開始した。
オリジナルのアクセサリーをハンドメイド販売アプリで販売している。
天然石を使ったネックレスやピアス、イヤリング、指輪など、特別じゃない、カジュアルで普段使いのをコンセプトに制作し、販売している。
家事や育児、そして仕事しても邪魔にならないアクセサリーは好評で徐々にリピーターがつき、そこそこ売れるようになった。
でもこれで生活ができるかといったら全然で、祖父母の農園で採れた野菜の収入と年金で、2人は迷惑かけている。
ただ食べ物に困ることはほとんどない。
今みたいに誰かかれかが野菜や魚、たまに作り過ぎたといっておかずを持ってきてくれる。
島の人たちはみんなで協力しながら生活をしている。
そんなここでの生活が楽しくて、柊一をここで育てられてすごく嬉しく思っている。
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