あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
そんなある日だった。
「翼〜蛍が飛んでるって杉山さんとこのおじいさんが言ってたよ」
「え? もうそんな時期?」
「そうだね〜昨年も5月の20日ごろだったんじゃないかい?」
美崎島の約6割は森だ。祖父母が所有している森に小さなが流れており、毎年そこでホタルの大軍を見ることができるのだ。
人の出入りが全くないので、ホタルのことを知っているの私と祖父母だけ。
杉山さんがみたというのは恐らく別に場所だろう。
「じゃあ、明日に夜、柊ちゃんつれていってみようかな〜」
「まだ柊ちゃんにはわかんないんじゃない?」
確かにそうだけど、いろんなものに興味を持ち出す時期に一度見せてみたかったのだ。
「大丈夫。それに私一人で行くより2人も方がたのしいしね」
「わかったよ」
翌日、夕飯を食べ終えた私は柊一をおぶって、蛍のいる森へむかった。
森は車で5分ほどのところから入っていく。
もちろん道など舗装されておらず、祖父たちが作った道をはいっていくのだ。
10分ぐらい歩くと、背の高い大きな木に囲まれた場所に小さな川が流れている。
昼間の森もいいが、私は夜の森が好き。