あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
車で7〜8分のところにその別荘はあった。
名刺の裏にログハウスと書かれていたので、すぐに見つかった。
青い屋根に白い窓が印象的な、ログハウスは新築と言う感じだった。
車を降りると一気に緊張が走る。
7段ほどの階段を上がったところにドアがあり、その横はウッドデッキがあった。
家の裏側は木々に覆われている。
だが、振り返ると、港の反対側ということもあり、絶景を楽しめる。
ロケーションとして最高の場所だ。
するとサッシの開く音がした。
振り返ると、彼がマグカップを持ってウッドデッキに出てきた。
「いらっしゃい」
その表情はとても穏やかでリラックスしている感じだ。
私は小さく会釈をするに留めた。
「ここいいだろ?」
「はい」
事務的な返事に彼は苦笑いをした。
「予定ではここに同じようなログハウスをたたて、貸し別荘をと思ってるんだ」
「……そうですか」
この島に二年も住んでいるのに私は何も知らなかった。
でもそれは仕方がないことなのかな?
この島に来て妊娠したことに気づき、その後出産、育児で生活の全てが柊一で回っていた。
あの子が大きくなるにつれ、少しづつ気持ちに余裕ができたものの、それでも生活の中心は柊一だった。
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