あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
今回のことで東京のジュエリー系の会社に就職することは不可能だということを思い知り、東京にいる意味を無くした私。
自分は決して間違ったことをしたつもりはない。
だが、正しいことも間違っていると判断されるのかと思うとやりきれなくなった。
一体この先どうしたらいいの?
東京がダメなら大阪や名古屋で……とも考えた。
だけど、今の私は心身ともにどん底のピークに達し、好きなジュエリーが嫌いになりそうだった。
私は今の思いを母に全て話し、実家に帰りたいと……。
『とにかくしばらく休みなさい。そして気持ちが落ち着いたらこの先のことを考えればいいじゃない。あなたはまだ若い。何度だってやり直せるんだから』
と励ましてくれた。そして母は私に美崎島に行くことを勧めた。
美崎島は母の生まれ故郷だ。人口は3000人と少ないが緑豊かな島だ。
そこに母の両親。私の祖父母が暮らしているのだ。
『じいちゃん、ばあちゃんも翼は元気か? って気にかけていたし、いい機会じゃない。その有り余る体力を畑仕事で役立てて頂戴』
と言われた。
確かに祖父母とは何年もあっていない。
どうせなら東京からうんと離れた美崎島で傷を癒すのもいいかもと思い、母の提案を受け入れた。
そして今まで住んでいたワンルームマンションを引き払い、明日東京を発つのだ。
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