あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています

運命のイタズラ

彼女と運命的な出会いをする数時間前、俺は朝倉ホールディングスの社長である父に突然呼び出された。
ちょうどリゾート開発の関係で、美崎島にいた俺は、
「すぐには無理だ」
といったが、大事な話があるからすぐに来いというので、渋々東京に戻った。
社長室に来いという指示があり、向かうと社長室にはすでに来客があった。
出直そうと思ったのだが、父から隣に座るよう促された。
真向かいには、日本三大自動車メーカーのひとつ、『日動技研』の西園寺社長。
そしてその隣には西園寺社長の御息女の由理恵が座っていた。
西園寺社長は、俺の顔を見ると満足そうに笑みを浮かべた。
「いや〜。悠一くんも随分立派になられて……どうだい? リゾート施設の方は」
「はい。島の人たちも友好的で今のところ問題なく進んでおります」
「そうか〜。それは安心だな。ところで今日は、悠一くんとうちの娘、由理恵とのことできたんだ」
それは寝耳に水の出来事だった。
まるで俺以外の3人はすでに承知で話をしているようだった。
だがここで露骨な態度は許されなかった。
実はこのリゾート施設はわが朝倉ホールディングスの他に3社が携わっており、その一つが日動技研だった。
「君も忙しい人だし、まだ若い。やりたいこともあるだろうから、二年半後ぐらいでどうかと思ってるんだが」
完全に出来上がった状態で話している。
まるで罠にかかったような気分だった。
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