あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
「じゃあ、少しだけ」
本当に自分の意思の弱さに情けなくなる。
「じゃあ、一緒にご飯食べないか? 一人で食べるのはつまらないし、食べるのを見つめられるのもなんか恥ずかしいし」
「でも私がいただいたらおかずが少なく——」
「いいよ。一緒にたべられるなら……」
悠一さんの顔がほんのりの赤くなっていることに気づく。
そんな顔されたら嫌とはいえないし、余計にドキドキしちゃうじゃない。
「じゃあ、すこしだけただきます」
一緒にご飯を食べることになった。
でもまさか、こんな展開になるとは思いもしなかった。
緊張して何から手をつけようか迷ってしまう。
すると悠一さんが私の小皿におかずを取り分けてくれた。
「ありがとうございます」
遠慮しがちに受け取ると悠一さんがクスッと笑った。
「君が作ったのに、そんなに恐縮されると俺の方が戸惑うよ」
「ご、ごめんなさい」
もう、そんな優しい顔でみつめないでほしい。
今度は緊張して食べられなくなる。
「いただきます」
手を合わせておかずを一口。
——おいしい。
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