あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
俺は反論できなかった。
それは俺も同じことを思っていたからだ。
翼が好きで、自分のものにしたくて周りを見ずに思いだけをぶつけていた。
由理恵の彼氏も翼と同じで冷静に考えている。
自分たちがしていることは間違いじゃないのかって……。
俺は何不自由なく育ち、何かに悩むことなんてなかった。
多くの人に守られて、大事に育てられ、翼からしたら俺は我がままな坊ちゃんとしか思っていないかもしれない。
「みんな不安なんだよ」
「え?」
「相手のことが好きという気持ちと不安は紙一重。その彼氏も君のことを思って身を引こうとしてる。俺の好きな人も同じ。でもその選択は決して本心じゃない。本当に別れたかったらもっと冷たくするはずだ」
そう、全て相手を思っての行動だ。
翼も、俺が結婚するとわかっていたから、自分の気持ちを封印させたんだろう。
でもそれでいいわけがない。
「東京戻ろう」
「え? でも私今来たばかりよ」
「わかってる。もう船ないしね。明日朝一で東京帰ろう」
「帰ってどうするのよ」
「とりあえずお互いの両親に、結婚の意思はないこと、この婚約を白紙に戻して……それぞれの好きな人に報告。後は各自進むべき行動をとる……でいいんじゃないか?」
だが由理恵は不安な表情を崩さなかった。
「本当にうまくいくと思う? わたしなんて結婚しないって言ったら、勘当だって言われたわよ」
「だったら勘当してもらえよ。まあ、実家の方が楽だけど——」
「す、するわよ。だってまーくんの方がいいもん」
その瞬間、俺たちは婚約者から同志へと変わった。
それは俺も同じことを思っていたからだ。
翼が好きで、自分のものにしたくて周りを見ずに思いだけをぶつけていた。
由理恵の彼氏も翼と同じで冷静に考えている。
自分たちがしていることは間違いじゃないのかって……。
俺は何不自由なく育ち、何かに悩むことなんてなかった。
多くの人に守られて、大事に育てられ、翼からしたら俺は我がままな坊ちゃんとしか思っていないかもしれない。
「みんな不安なんだよ」
「え?」
「相手のことが好きという気持ちと不安は紙一重。その彼氏も君のことを思って身を引こうとしてる。俺の好きな人も同じ。でもその選択は決して本心じゃない。本当に別れたかったらもっと冷たくするはずだ」
そう、全て相手を思っての行動だ。
翼も、俺が結婚するとわかっていたから、自分の気持ちを封印させたんだろう。
でもそれでいいわけがない。
「東京戻ろう」
「え? でも私今来たばかりよ」
「わかってる。もう船ないしね。明日朝一で東京帰ろう」
「帰ってどうするのよ」
「とりあえずお互いの両親に、結婚の意思はないこと、この婚約を白紙に戻して……それぞれの好きな人に報告。後は各自進むべき行動をとる……でいいんじゃないか?」
だが由理恵は不安な表情を崩さなかった。
「本当にうまくいくと思う? わたしなんて結婚しないって言ったら、勘当だって言われたわよ」
「だったら勘当してもらえよ。まあ、実家の方が楽だけど——」
「す、するわよ。だってまーくんの方がいいもん」
その瞬間、俺たちは婚約者から同志へと変わった。