あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
いつもの食卓。だけど人が一人増えるだけで、とても賑やかになる。
その中心にいるのは息子の柊一。
「本当に、生きてるうちにひ孫が見られるっていうのは幸せなことだな」
祖父が嬉しそうに柊一をみている。
柊一も笑顔でご飯を食べている。
この子の目は、悠一さんにとても似ている。
薄めの眉と、唇の形が特に似ている。
鼻と輪郭は私に似ていると思う。
だが、家族は柊一の顔をみて、私ににてるとかそういうことは一切言わない。
本当は、そういう話をしたいはずなのに……。
私も柊一もみんなに大切にしてもらってる。
これ以上何かを望むなんてバチが当たる。
それに、本当のことを知ったら、みんなの笑顔を壊してしまうかもしれない。
だからこのままでいい。
そう頭ではわかっているのに……全く心は晴々としていない。
昨夜は、ほとんど寝ていない。
いや、眠れなかった。
自分の選択はただしかったのだろうか?
心に燻る微かな後悔が時間と共に大きくなる。
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