きみはわたしの地獄
次の日わたしは彼よりはやく目が覚めた。
気怠い身体を起こしながら我に返って立ち去りたいような気持ちになったけど、それ以上に、切なくて、くるしくて、どうしようもなくなって泣き顔をシーツに潰れるほど埋めた。
特別。だけどこれは、きっと良いものじゃない。
わたしはいろんなことに気づいてしまった。自分のこと、周りのこと、周りへの気持ち、自分への不信、恐怖……何もかも、彼が再びわたしの前に現れたからだ。
昴くんがわたしと同じ容姿になって現れた。わたしを好きだと言ってくれた。世界で一番だと言ってくれた。
どれもこれもこのひとのせいだ。
きっと、昴くんが昴くんのままでいてくれたら、こんな気持ちにならなかった。
わたしの心には何も届かなかったはずなのに。
はじめて見る自分の寝顔をそっと撫でる。
気づきたくないことに気づいた。気づかされた、この存在がにくい。
にくい。だけど、何処よりも心地よい。
きっとこの気持ちは、わたし以外誰も知らない。
だって彼にしかないような気持ちに表し方だから。
だから起きたら、わたしも昴くんに言ってあげたい。
もう解ったよ。ゆるすよ。きみがそうしてくれたように。
もしもあの頃に戻れたとしてもきみに話しかけて、いつかすくってもらった昨夜に手を伸ばした。
だから昴くんも、ちゃんと大丈夫だよ、と。