【完結】悪魔な御曹司に心も身体も溶かされました。



「はい。神宮寺社長はきっと、光星さんに憧れていたんだと思います。……だけどその憧れというものが、いつしか皮肉へと変化した。そしてそれを、わたしを利用して同じようにしたかったんだと思います。……きっと光星さんが、苦しんだり、傷付く姿を。彼は目の前で味わいたかったのかもしれません。 昔経験した恋の経験を、光星さんにもしたかったのかも」

「……アイツには、申し訳ないことをしたと思っている」

 わたしがそう言うと、光星さんは小さく擦れた声でそう言った。

「光星さん……」

 その時の光星さんは、小さな子供みたいで。慰めてあげたくなるほど、弱々しい表情をしていた。

「莉沙……すまなかった。莉沙にも申し訳ないことをした」

「いえ、わたしは平気です」

「……え?」

「わたしなら、平気です。 だって光星さんは、ちゃんと助けてくれたから。……あの時、光星さんが助けに来てくれないかなって、そう思ってたので。助けて欲しかったんです、光星さんに」
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