【完結】悪魔な御曹司に心も身体も溶かされました。
◎他の男のことなんか、忘れさせてやる
翌朝、わたしが目を覚ますと、隣に彼はもういなかった。代わりにあったのは、置き手紙だった。
「……え、何?」
置き手紙……? アイツから?
【莉沙、昨日は楽しかった。また連絡する。部屋の代金は払ってあるから、好きな時にチェックアウトするといい】と、手紙には書いてあった。
「……ええ、お金払ってあるんだ」
優しいのか優しくないのか、わたしには分からない。だって、起きたらいないんだよ? それって優しさって言うのかな……?
しかも、もうすっかりわたしのこと莉沙って名前呼びだし……。馴れ馴れしい。 ていうか、わたしを自分のものにするとか言ってたけど、わたしアイツのものじゃないし!
一度わたしを抱いたくらいじゃ、わたしはアイツになんて靡(なび)かない。……絶対に。
わたしには、アイツと過ごした時間よりも、亡くなった俊太郎(しゅんたろう)と過ごした時間のほうが遥かに長いんだから……。そう簡単に忘れられる訳、ないでしょ……。