【完結】悪魔な御曹司に心も身体も溶かされました。



「まぁまだ始まったばかりだし、めげずに頑張ろう?」

「…………。はい」

 すごく嫌だ。すごく行きたくない。今すぐにでも誰かに担当を交代したいくらいだ。

 わたしは今日も、アイツの元へアポを取り、営業へ出かけないといけない。それは仕事だから、仕方ない。やることはちゃんとやる。

 だけどひとつ、心配なのは……。

「じゃあよろしく頼んだよ、遠藤くん」

「はい。行ってきます」

 そんなこんなでアポを取った時間になり、わたしは渋々聖川製薬へと出かけた。アポを取ったことを伝え、また社長室へと向かう。だけどその足取りは本当に重くて……。出来ることなら今すぐにでも、引き返したいくらいだ。

 仕事だけで顔合わせるのもイヤなのに、あの日の夜、アイツと身体まで重ねたのだ。そんなにイヤなことはない。

「はぁ……。どうしよう、帰りたい」

 顔合わせるの、すごく気まずいよ……。なんて言われるかも分からないのに。どうしよ、本当に……。
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