【完結】悪魔な御曹司に心も身体も溶かされました。
「お疲れ様でした」
「あ、遠藤さん、お疲れ様」
「はい。お先に失礼します」
会社を出てわたしは、すぐに家に帰りたくなくて、行きつけのバーに行くことにした。少しお酒でも飲んだら、気分も晴れるかな……。
「マスター」
「あら、莉沙ちゃん。また来てくれたの?」
「なんかマスターの顔、見たくなって」
わたしがカウンター席に座ると、マスターは「あら、嬉しいこと言ってくれるわね?」と嬉しそうに言った。
「マスター、ハイボールください」
「かしこまりました」
マスターがハイボールを作ってくれている間、わたしはスマホであの男のことについて少し調べた。何かアイツと対等に引き出せる何かはないか、探ってみる。……けど、特にはネットを見ただけでは分からない。
「莉沙ちゃん、お待たせ。はい、ハイボール」
「ありがとうございます。いただきます」
ハイボールを口にしても、なんにも思い浮かばなかった。ただただ飲むことだけしかしてない。