【完結】悪魔な御曹司に心も身体も溶かされました。



「お疲れ様でした」

「あ、遠藤さん、お疲れ様」

「はい。お先に失礼します」

 会社を出てわたしは、すぐに家に帰りたくなくて、行きつけのバーに行くことにした。少しお酒でも飲んだら、気分も晴れるかな……。

「マスター」

「あら、莉沙ちゃん。また来てくれたの?」

「なんかマスターの顔、見たくなって」

 わたしがカウンター席に座ると、マスターは「あら、嬉しいこと言ってくれるわね?」と嬉しそうに言った。

「マスター、ハイボールください」

「かしこまりました」

 マスターがハイボールを作ってくれている間、わたしはスマホであの男のことについて少し調べた。何かアイツと対等に引き出せる何かはないか、探ってみる。……けど、特にはネットを見ただけでは分からない。

「莉沙ちゃん、お待たせ。はい、ハイボール」

「ありがとうございます。いただきます」

 ハイボールを口にしても、なんにも思い浮かばなかった。ただただ飲むことだけしかしてない。
< 30 / 125 >

この作品をシェア

pagetop