【完結】悪魔な御曹司に心も身体も溶かされました。



「聖川さん、今日はありがとうございました。ごちそうさまでした」

「喜んでもらえて良かった。こちらこそ、楽しい一日だったよ。ありがとう」

 聖川さんはその日の夜、駅までわたしを送ってくれた。そして帰り際、わたしをそっと抱きしめてくれた。そしておでこと頬に、優しくキスを落としてくれた。

「また連絡する。おやすみ、莉沙」

「……おやすみ、なさい」

 その日のわたしは、ずっとときめいていた。ドキドキして、深く眠れなかった。

 なんだかんだ、初デートはとても楽しかった。




◇ ◇ ◇




「莉沙!」

「あ、聖川さん……」

 待ち合わせをしていたビルの噴水の前に、聖川さんは走ってやってきた。

「済まない。遅くなった」

「いえ。 大丈夫です」

「よし、行こうか」

「……はい」

 わたしたちは今日、初めて手を繋いだ。聖川さんから、優しくその手を握ってくれた。今日は初めて、聖川さんと一緒に夜景を見に行く。
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