【完結】悪魔な御曹司に心も身体も溶かされました。


 
「ほら、わたしのおごりだよ。食べて」

「…………」

「辛いかもしれないけど、少しは食べておかないと。……ね?」

「…………。はい」 

 あの時マスターは、泣いているわたしに食べてとおにぎりとお味噌汁を出してくれた。食欲もなくて、何も食べたくないと思ってた。だけどマスターの手作りのおにぎりを食べたら、本当に美味しくて、また涙が溢れたのを覚えている。

 あの時からマスターは、わたしの命の恩人であり、頼れる存在。そしてよき相談相手なのだ。

「で?その男、イケメンだった?」

「はい? なんですか、急に……」

「イケメンだった?」

「……イケメンかどうかは、答えたくないですね」
 
 例えイケメンだったとしても、わたしはあんな悪魔をイケメンだとは思いたくない。絶対に!

「その人、どんな人だったの?」

「え? どんなって……」

 ただただ、クソ性格の悪い悪魔ヤロウ!ってことしか分からない。

「特徴とかないの?その人の」

「特徴……?」
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