【完結】悪魔な御曹司に心も身体も溶かされました。
「そ、そんな……!」
こちらこそ、もしお嫁に行くことになったら、ずっとお世話になる訳だし……。仲良くさせていただけたら、ありがたいけれど……。
「莉沙さん、わたしたちのことは、本当の家族だって思ってもらっていいんだからね?」
「……はい。ありがとうございます」
わたしには、家族と呼べる人は誰一人いない。両親はわたしが生まれた後すぐに離婚したらしい。 父親の顔は知らないし、母親の顔も知らない。母親は元々身体が弱く、持病を抱えていたそうだ。離婚してしばらくしてから、ひっそりと亡くなったことを、当時暮らしていた施設で知った。
親の愛を知らないわたしは、そうやって誰かに頼って生きていくことで、寂しさを紛らわせていた。だけど、大切な人も事故で亡くなって……。
ずっと一人だと思っていた。……だけど、こうやって家族だって思ってくれていいなんて言ってくれる人、初めてだ。
「莉沙?」
「……え?」
「どうした?」
「……あ、いえ」