【完結】悪魔な御曹司に心も身体も溶かされました。
「そう、忘れられない人がいるのは仕方ないとおもう。……だけどずっとそのままだったら、いつまで経っても、新しい恋は始められないわよ?」
「……恋なんてもう、したくないです」
恋をして分かったのは、大切な人がいなくなると、自分もいなくなってしまいたくなること。もし忘れたりしたら、わたしは彼に申し訳ないことをしたと、きっと思ってしまうだろう。
「莉沙ちゃん、あなたまだ若いんだし……。今が新しい一歩、踏み出すチャンスかもよ?」
「……新しい、一歩?」
「そう。 彼のことは、忘れられなくてもいいと思う。無理に忘れる必要だってない。……だけどあなたの人生、まだこれからでしょ?もったいないわよ、こんな所で躓いてたら」
マスターの言うことは、いつもわたしの胸を突き刺す。心の中にぐっと入り込んでくる。
「……もったいない?」
「そう。独身で恋してるうちが、一番楽しいのよ? だって結婚したら、その人の隣で一生を捧げないといけないんだから」