【完結】悪魔な御曹司に心も身体も溶かされました。


 
 わたしに気付いた神宮寺さんは、わたしのほうに視線を向けた。そして「神宮寺です。よろしくね?」とわたしに声を掛けた。

「よ、よろしくお願いします」

「莉沙、コイツに挨拶なんてしなくていい」

 そして光星さんは、わたしの腕を引っ張るとそう言って肩を抱き寄せた。

「おいおい。俺の扱いひどくないか?」

 と神宮寺新社長は、光星さんに言った。そして光星さんは、神宮寺新社長にこう言い返した。

「言っておくが、お前にされたこと。俺はまだ許してないからな」

「なんだ、まだ根に持ってんのか?」

 どういう意味だろう……。その会話の意味がわたしには分からなくて、呆然とするしかなかった。だけど分かるのは、ふたりの視線が冷たいということだけだ。

 このふたり、昔何かがあったことは確かなようだ。……だけどわたしには、そこまで踏み込むことは出来ない。だから、気になるけど聞かないことにした。

「……莉沙、行くぞ」

「え? あ、ちょっと……光星さん!?」
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