【完結】悪魔な御曹司に心も身体も溶かされました。
再び会場に戻ると、神宮寺新社長が就任の挨拶をしていた所だった。
「未熟者ではありますが、神宮寺眼鏡の社長として、精一杯勤めていく所存であります。どうか皆様、温かい目で見守ってくださると幸いです。……では、これにて挨拶を終わりに致します。 ご清聴、ありがとうございました」
神宮寺社長の挨拶が終わると、温かい拍手が起きた。イヤイヤだろうけど、一応光星さんも拍手はしていた。……だけど彼を見つめるその目は、とても冷たいということに変わりはなかった。
ふたりの間には、わたしの知らない何かがある。だけどそれに触れるのは、きっとタブーだ。
「聖川」
挨拶を終えたばかりの神宮寺社長が、笑顔でわたしたちの元へとやってきた。
「……社長就任、おめでとう」
言葉ではおめでとうと言ってるけど、その言葉の中には尊敬などはなさそうだった。彼を見つめる目も、決して笑顔ではなかった。
「ありがとう。これから、よろしく頼むよ。社長の先輩として」
「……関わることなどないと思うがな」