【完結】悪魔な御曹司に心も身体も溶かされました。
「…………。一生を、捧げる」
「そうよ?夫婦になるって、そういうことなのよ。その人のことを想い続けられる保証なんて、どこにもないんだから」
マスターが言うと、やけに説得力があるんだよね……。
「……ありがとう、マスター。元気出たよ」
マスターの言うとおり、わたしもそろそろ前を向いて生きていかないとダメだよね……。ずっと彼に縛られてたら、わたしはきっと幸せになんてなれない。
……前を、向かなくちゃ。
「良かった。元気出してくれて」
「やっぱりマスターがいてくれると、安心する。ありがとうね」
「また悩んだら、いつでも来ていいからね?待ってるから」
「ありがとう、マスター。ごちそうさま! これ、お釣りいらないから!」
会計を済ませたわたしは、またコートを着てマフラーを巻いて、寒さの中自宅へと足を向けた。
そしてまたアイツに再会することを、この時のわたしはまだ知らなかった……。