【完結】悪魔な御曹司に心も身体も溶かされました。
「俺が好きな女と、聖川さんの好きな女が同じだったんだよ。……皮肉なことにな」
「…………」
わたしはその言葉に、何も言えなくなった。ただ黙って、神宮寺社長の背中を見つめているしかなかった。
「アイツは最初、俺のために身を引くと言ってくれたんだよ。親友のために、俺が身を引くって。そう言ってくれたんだ」
「え?」
そしてまた、神宮寺社長は話し始めた。
「俺はその時、聖川に申し訳ないことをしたと思った。だから俺も、アイツの幸せを願おうと思っていた。……そんな時だった。俺、アイツから言われたんだよ。当時好きだったその女を、聖川が抱いたって。そして付き合うことにしたって」
「…………。え?」
「聖川も、俺がその子を好きだって知ってたのに。……なのに聖川は、その子を抱いたんだよ。俺からその子を遠ざけようとして。 わざと抱いたんだ」
まだその話を聞いても、わたしはまだ信じられなかった。 光星さんがそんなことするような人だなんて……。わたしにはどうしても思えなかった。